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世界の都市見聞録D

「トロント」





 

 トロントは、カナダ最大の都市でカナダ経済の商都でもあり、2006年統計で人口250万人、都市圏人口511万人を有しています。
 トロントの民族グループは、ヨーロッパ系が62.2%、中国系10.6%、南アジア系10.3%、アフリカ系8.3%、フィリピン系3.5%、南米系2.2%に分かれています。そのため多くのエスニックタウン(リトル・イタリー、リトル・ジャマイカ、リトル・インディア、中華街、コリアタウン、ポルトガルヴィレッジ、ケンジントンマーケット)が多岐にわたって立地しています。

1.トロントの中心市街地の商業

@イートン・タウンセンター
 トロントで最大のショッピングセンターで、シアーズとベイ百貨店(隣接地)の2核と300の専門店テナントで形成されています。イートン・タウンセンターはウォークウェイ(地下街と地下鉄が一体化した形で都心に網の目のように張り巡らされた地下のストリート)と一体化しています。トロントの中心市街地が健在なのは、イートン・タウンセンターの存在と地下鉄(鉄道や市電)の存在、移民による人口増の存在によるものと言われています。いずれにしても、トロントでbP級の規模のRSCが都心に立地していることにより、中心市街地を活力ある状態で保つことができます。中心市街地はアーバン・リゾートニーズ(郊外からのわざわざの来街が発生するニーズ)のみならずアーバン・コンビニエンスニーズ(都心で働くワーカーや都心へのビジターから発生するニーズ)の2つのニーズから成り立っており、トロントのような実質的な首都(実際の首都はオタワ)機能を持つ都市は、オフィスワーカーを中心としたアーバン・コンビニエンスニーズが大量に発生します。
 その意味で、地下鉄や地下のストリート(ウォークウェイ)と一体化したイートン・タウンセンターは、最高の商業立地となります。中心市街地には、郊外のSCとの戦略的同質化のため都市型RSCが必要であり、この都市型RSCのポジショニングによって中心市街地の商業街区の魅力度が異なります。例えば、エドモントンの中心市街地は「シティ・センター」という都市型RSCが存在しますが、郊外(都心から10q地点)に巨大なエンターテインメント型SCであるウエスト・エドモントン・モールが立地しているため、中心市街地の核要素(シティ・センター)の役割が弱く、中心市街地の活力は高くありません。またエドモントンには地下鉄等の大量交通手段もありません。それでも、中心市街地にはアーバン・コンビニエンスニーズが存在しますので、都市型RSCであるシティ・センターは成立しています。

Aストリート
 トロントはカナダ第1の都市ですので、都市型RSCのイートン・タウンセンターのみならず、ストリート(散策できる街路)が各所に見られます。 まず、「ヤングストリート」(イートン・タウンセンターを核要素とする大衆・中級志向の路面店が1qにわたり並び、ニューヨークのタイムズスクエアを意識した派手な電飾看板をほどこし、エンターテインメント施設も導入して夜中までにぎわっているストリート)、次いで「クイーンズストリート」(バンクーバーのロブソンズストリートに似た低層のファッションストリートであり、ヤング志向の明るい店舗ファサードのストリート)、「ヨークビル・ブロアストリート」(カナダで最高のブランドショップのストリート)、そして「ウォークウェイ」(冬の寒さが厳しいため地下ストリートが地下鉄と一体化し、地上部分の超高層オフィスタワーに連動しているストリート)、「クイーンズキーターミナル」(オンタリオ湖沿いの再開発エリアで、古いビルの上に新たなコンドミニアムを4層積んで分譲し、資金を捻出し、低層階はインテリアや生活雑貨を中心とした専門店街として多くの集客を得ているディストリクト)があります。
 いずれにしても、中心市街地を活力あるものとするためには、魅力ある商業街区が必要です。それには、都市型RSC(イートン・タウンセンター)とストリート、それもヤング&高級志向のストリート(ヤングストリート、クイーンズストリート、ヨークビル・ブロアストリート)と利便志向のストリート(ウォークウェイ)が絶対条件となります。

2.トロントの郊外で人気のあるSC
 トロントを視察して、住民に人気のあるSCを3つと、メガストアを1つ取り上げます。

@スクエア・ワン(SQUARE ONE)
 スクエア・ワンは、トロント郊外で最大級のRSCです。5核店(ザベイ、ゼラーズ、シアーズ、ウォルマート、ホームアウトフィッターズ)と320の専門店、シネコン(10スクリーン)、フィットネス等から成り立つアメリカ型SC(郊外の車社会に対応したSC=多核・モール型SC)です。一方、中心市街地に立地するイートン・タウンセンターは、街中SC、大量交通手段と一体化したSC…という意味でヨーロッパ型・日本型SCと言うことができます。
 スクエア・ワンは、イートン・タウンセンターとほぼ同規模のRSCであり、アメリカのSC並の核店揃えと専門店揃え及びエンターテインメント揃えを行っています。核店揃えは、中中のザベイ(アメリカではメーシーズに相当)、中下のゼラーズ、シアーズ、さらに下のウォルマートを導入し、理論的な核店揃えから言うと、中上のクラスの核店(例えばノードストローム)と下のクラスのウォルマートを入れ替えることが必要ですが、カナダには中上あるいは上クラスの核店が存在していません。強いて言えば、ザベイがその役割を持つ百貨店(核店)です。
 いずれにしても、トロントの消費者に人気のあるRSCとして、アメリカ型RSCの「スクエア・ワン」があります。

Aヴォーン・ミルズ(VAUGHAN MILLS)
 ヴォーン・ミルズは、アメリカのミルズ型SCであるバリューセンターです。チェルシー型のラグジュアリー志向のアウトレットセンターとは異なり、ラグジュアリーブランドは少ないが、その代わりエンターテインメント性を付加して、安さと楽しさを融合させた業態です。カテゴリーキラー、アウトレットストア、ダイニング、エンターテインメント施設をサーキット型のモールに導入した、エンクローズド型のバリューセンター(安さと楽しさを融合させたSC)です。現在、トロント周辺には本格的アウトレットセンターが立地していませんので、独占状態で人気を博しています。アメリカではミルズ型のアウトレットモール(バリューセンター)の人気は峠を越えていますが、移民系住民を中心に根強い人気あり、カナダでの人気も高いようです。トロントの都市圏人口が511万人、さらにオンタリオ湖西岸を囲むゴールデン・ホースシューと呼ばれる地域の人口は810万人であることから見て、本格的アウトレットセンターの成立性は十分あるため、近未来には本格的アウトレットセンターが進出することが想定されます。しかも、トロントは国外で生まれた移民の割合がマイアミに次いで世界で2番目に多い都市となっており、その結果、非ヨーロッパ系人口は37.8%に達しています。その意味において、チェルシー型とミルズ型のアウトレットセンター(バリューセンター)の両立は十分可能です。

Bパブリック・モール
 パブリック・モールは、中華街的なエスニック型SCです。中国系の資本と中国系のテナントで構成され、トロントの人口の10.6%を占める中国人を主要ターゲットとしています。しかも、多民族都市であるトロントのエスニックマーケット、かつ、一般の消費者から見てもエスニック志向の異質型ニーズへの対応で、非常に人気を博しています。まさに、中国人に3割差異化・特化、一般人に7割総合化したエスニック型SCです。

Cカナディアンタイヤ
 SCではありませんが、興味あるメガストアを見つけました。私はこれを「パパ好きの店」と名付けました。元々は名前の通りタイヤを中心とするオートカー関連の店でしたが、車利用者を基軸に次々にラインロビングして、スポーツ用品、アウトドア関連、情報・生活家電、自転車、ホームファニシング、DIY、ガーデニング…等に取扱商品を広げていき、結果的に、男の好きな店・男が義務で果たさなければならない買物の店になりました。「男のライフスタイルあるいは男の義務買物を支援するメガストア」として人気を博しています。


 
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